③婚活は少子化と非婚化の最前線   -女性の選択、理論とその実際-

婚活にまつわる研究・言説をクソ真面目に考察します。

3-8 結論

 

結論

 

 本章で説明してきたとおり、恋愛や結婚に適した年齢層の男性は、多くが年収400万円未満である。また、そうした年代の既婚者や恋人がいる男性に限定した場合でも、4人に3人が年収400万円未満である。年収400万円未満である男性は、恋愛や結婚が難しいという通説のイメージとは異なり、そうした男性でも既婚者や恋人がいるものも多い。こうしたことからわかるのは、結婚や恋愛に関して女性が男性を選択する際、その基準が必ずしも経済的理由を優先するとは言えないということである。

 確かに、経済的な充足を目的とし、恋愛や結婚を手段とする女性も多いだろう。あるいは、経済的目的が契機ではあったが、その後、男性との関係が実質的な恋愛や結婚へと変化するケースも考えられる。

また、この章で示したデータは、山田氏によって提示された2次的資料をもとに作成したものであり、3次的なデータとなる。ゆえに、通説以上に非婚化現象における実態から乖離しているという指摘もあるだろう。もちろん、「年収400万円の壁」によって結婚や恋愛には縁の薄い状況にあるとされている男性が多数存在するのも事実である。しかしながら、本章での推論は、女性が男性を恋愛や結婚の相手として選ぶ場合、必ずしも経済力を可否判断にしてはいないことを示している。つまり、非婚化の進行は、経済力が相対的に低下した男性が多くなったからではないということである。

では、非婚化の原因は何か。その原因は、男性、女性それぞれの問題や社会的な要因を様々な観点から考える必要がある。通説によると男性の経済力低下が原因であるが、本章では、女性が男性を選ぶ際に、経済力以外の側面を重要視している可能性が強いことを示した。実際のところ、女性は、パートナー選択の際、男性のどういった点に注目しているのだろうか。また、その注視・選択はいつ、どのようになされているのか。これらについて、次章以降、検討してゆく。