③婚活は少子化と非婚化の最前線   -女性の選択、理論とその実際-

婚活にまつわる研究・言説をクソ真面目に考察します。

3-5 夫婦ともに非正規雇用者の世帯数はどのくらいか

夫婦ともに非正規雇用者の世帯数はどのくらいか

 

確かに、非正規雇用者である男性を、単純に低所得者層と同義にしてしまうのは、拙速である。働き方が多様化している現代社会において、フリーランスであるが正規雇用従事者と比して、高所得である人も珍しくはない。また、女性の社会進出が進み、パートナーである男性が非正規雇用であったり所得が低い場合でも、女性が正規雇用者で一定以上の所得があれば、世帯収入としては経済的に問題とならないケースも増加している。その典型例は、専業主夫であろう。

しかしながら、こうした事例は少数である。やはり、非正規雇用者の所得は総じて低い。そこで、ここでは、夫婦共働き世帯を取り上げ、その中から、夫婦ともに非正規雇用である世帯数を推計する。つまり、結婚が所得水準の上昇につながらないケースの算出である。

 

夫婦ともに非正規雇用の世帯は約100万世帯

 

具体的な夫婦の就業形態は、2014年のデータによると次のようになる。夫がフルタイム、妻がパートタイムで働いている世帯数は、495万世帯である。夫婦ともにフルタイム就業という世帯数は、390万世帯である。夫婦ともにパートタイムである世帯数は、約100万世帯である。その他、夫がパートタイム・妻がフルタイムという世帯も若干存在する。

さて、年齢を度外視すると、単純計算で、約100万人の既婚男性が非正規雇用者として働いている。この100万人の中に、2030歳代はどれくらいいるのだろうか。既婚者の場合、男性が世帯主となっているケースが多い。よって、非正規雇用者男性100万人は、おおむね、男性であると推定される。そこで、世帯数をもとにした推計と既婚者数をもとにした推計の2つを算出した。

まず、世帯数を軸とした試算である。この試算では、2030歳代の夫婦で構成された世帯数は、おおよそ26.3万世帯となる。推計方法は次のとおりである。2064歳の既婚男性の総数は、おおよそ1,983万人である。そのうち、2039歳の既婚者は約522万人で、総数に占める割合は26.3%である。夫婦ともパートタイムである世帯は約100万世帯であるから、2039歳の夫婦で構成された世帯は、100万世帯の26.3%、すなわち約26.3万世帯と推計される。

次に、既婚者数を軸とした試算である。この試算では、非正規雇用に従事している2030歳代の既婚男性は、約52万人となる。推計方法は次のとおりである。2064歳の既婚男性の総数は、およそ1,983万人であるのは先述のとおりである。夫婦ともに就業している世帯数は約1,000万世帯、そのうち、約100万世帯が夫婦ともにパートタイムで就業している世帯である。1,983万人のうちの10%の世帯に属する男性、すなわち198万人の男性が、パートタイムとして働いている計算になる。また、2030歳代の既婚男性は、既婚者全体の26.3%である。これらを踏まえると、198万人の26.3%、おおよそ52万人が、2030歳代で非正規雇用に従事する既婚男性の人数となる。世帯の総数と就業形態別の世帯数別割合は、2007年以降大きく変化していない。したがって、ここで行っている推計および基礎となるデータについて、タイムラグによる変化の影響は少なく、現在の状況を把握するうえでの参照には、差し支えがないと思われる。