③婚活は少子化と非婚化の最前線   -女性の選択、理論とその実際-

婚活にまつわる研究・言説をクソ真面目に考察します。

3-6 考察①:年収400万円未満や非正規雇用でも既婚・恋人あり男性は結構いる

考察①:年収400万円未満や非正規雇用である既婚・恋人あり男性は結構いる

 

 本章で説明してきたことを簡単にまとめると、以下のとおりである。

年収400万円未満の既婚もしくは恋人がいる30歳代男性の人数は、約259万人と推計される。これを所得階層に応じた既婚・恋人ありの人数の割合でみると、30歳代の既婚・恋人あり男性は、約75%が年収400万円未満であることになる。実に、4人に3人が、「年収400万円の壁」以下の所得水準にあることが推定される。

正規雇用者として就業している2030歳代の既婚男性の人数は、労働力人口をもとにした推計では約50万人にのぼる。同じように、共働き夫婦世帯をもとにした推計によると、世帯数からの試算では約26万人、既婚者数からの試算では約52万人となる。

こうした推計や試算から言えることは、年収が400万円に満たない場合でも、既婚者や恋人がいる男性は、比較的多いということである。具体的には、そうした男性は、少なく見積もっても約50万人いる。これを多いと感じるか否かは、個々人の主観や判断基準・理由等によるだろうが、私自身は、これを多数だと考える。

人数の多少を比較する為に参考例を示してみる。例えば、東京都江東区の人口は約50万人であり、鳥取県の人口は約57万人である。しばしば論じられる社会問題に目を向けると「ひきこもり(若者無業者)」の総数は約56万人だとされている。保育所問題での待機児童数は、平成29年度で2.4万人(暫定値)である。日本人最大の死因は癌であるが、癌による年間の死亡者は、37万人超である。交通事故の年間発生件数は、約38万件(よって被害者・加害者ともに最低38万人いることになる)である。もちろん、列挙した例示には何ら整合性はない。だが、非常に単純ではあるが、こうした人数と比較してみると、50万人という人数は、少数派でも例外的存在でもないことがわかる。